短時間勤務についてのあれこれ
id:roumuyaさんのところに「短時間勤務、運用の壁?」という面白いエントリーがあったので、当事者および周りに当事者だった人が多かった者として*1、少し思うところを書きたいと思う。このエントリーは、日経の夕刊*2にあったJILPTの神谷隆之主任の「育児のための短時間勤務には運用面で4つの問題点」があるという記事について論じたもの。ここでは、roumuyaさんの記事にそって、4つの問題点について順に書いていきます。
(短時間勤務運用の)第1の問題点は「業務量の調整」で、勤務時間短縮に見合うだけの業務量の減少
がともなわない、ということのようです。
幸い、私の場合は時間に比して*3量を減らしてもらえっていた。もしそうでなければ、時間は短くなるわ、量は変わらないわ、それでいて質は下げないわでパンクしていただろう。基本的には、時間が短いなら量も少なくするほかないと思う。ただ、時短勤務=時間に比例した業務量、フルタイム勤務=無制限となると、また別の問題がでてきそう。また、
仕事量が減らないのには「この仕事は自分の仕事として自分で完結したい」という本人の熱意も背景にあるのかもしれません。
というご指摘ごもっとも。はたから見えれば、「仕事量が少なくなるなら万々歳じゃないか」と思いそうだが、短時間勤務だと中途半端な仕事しかできず、時に不完全燃焼感に襲われることもある。まあ、実際は二兎、三兎を追うような器用なことができる人ならいいが、通常は自分のなかでどこに折り合いをつけるかになると思う。
第2は「評価や報酬への影響の問題」があげられています。まあ、本人にしてみれば切実な問題でしょうが…。一応、「時間数に応じた基本給の減額はやむを得ない」ということのようで、問題にしているのは「業績評価制度への影響」です。
これは、時間に応じて給料が減るのは仕方がない、かな。私の場合、仕事の量も考慮してもらっていたので、給料が少なくなるのは自分の中で納得していた*4。いくら能率を上げています、自分の仕事は終わらせています、と言ったところで、やっぱりいない時間にほかの人にフォローしてもらっていることは確かだし。お金を払って子どもを見ててもらうサービスもあるのだから、自分の給料を返上して「早く帰る権利」をもらってるんだなと思っていた。
ただ、求められるものが全くフルタイムの人と同じだったとしたら、もっと複雑だっただろう。昼休みもロクに取らず仕事三昧でなんとかフルタイムの人と同じ量をこなしている、という話も聞かないわけではないので、そういう人には成果できちんと評価できるといいと思う。成果がちゃんと図れる職種であるというのが前提の話だけど。
第3にあげられているのは「労働意欲の問題」だそうで、具体的には「業務範囲も責任の重さも以前と変わらず、密度を濃くして働き疲労感が大きい割には見返りが少ない。このアンバランスが続くと意欲も低下する」という不満が紹介されています。
特に復職後すぐは昇進・昇給なんて以ての外、働き続けること(=短期的には会社から追い出されないこと)が第一命題になっていたので、チビがいても会社に置いてもらってラッキーくらいに思た。いやはや無欲というか、向上心がないというか、目標が低いというか・・。なにしろ、両立に対する不安も大きかったので。でも、このくらいで構えていたので、気持ちは楽だったのかも。
もちろん、そのうち欲もでてきましょう。これからは、そういう欲と時間の折り合いが課題になってくるかな。
わきにそれるが、この中の説明で徒労感について「短時間勤務で育児を両立させているのですから、当然ながら仕事の疲労感は大きいでしょう」というという指摘には、「なるほど!」と思った。限られた時間の中で能率をあげようとして疲れるというのもあるけど、そもそも疲れる構造になっているのか、と。
第4は例によって「職場の理解」です。
これはありがたいことに恵まれていると思う。その証拠に、ここ数年子持ちの女性社員*5が一気に増えた、増えた(笑)。
結局*6、仕事も育児をそれぞれ完全な状態にして両立させるのは無理なわけで、逆に言えばそのために「短時間勤務」制度があるんだから、その間割り切って、多少評価が悪くても、希望した仕事ができなくてもいいじゃないかと長い目で見るのがよいのではないかと思う。
最後に、こちらの「夫婦の働き方の組み合わせ」の問題は、男性の育児休暇取得同様、男性の育児時短取得は現実的と思うが、慢性化している男性労働者(特に子育て世代)の長時間労働の是正でだけでも、ずいぶん子育ては楽になるのではないだろうか。