『「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー』高橋秀実

開成高校(言わずと知れた東大合格者ナンバーワンの超進学校)の野球部を描いたノンフィクション。ただし「勝てます」というか「勝つこともあります」って感じで、決して「優勝します」とまではいかない、微妙なところ(でも、2005年夏の甲子園、東東京予選でベスト16まで進出は立派!)。

「弱い」「下手」ということをまず認めたうえでそれでも勝つ戦法を取っているところ、練習日はとても少なく、教えるときはまず理屈からというところ、そして引退後は東大を目指すとか、いわゆる高校球児とは違う側面を多くのインタビュー記事で書いている(蛇足ながら。開成高校の内部生と外部生の割合は分からないけど、意外と本書で出てきて活躍しているのは、外部生(帰国生も含む)が多い印象。中学受験をガリガリやってきた子供(内部生)よりは、外部生の方がのびのびやって開成高校にたどり着いた感じ)。

こういう視点のノンフィクションは見たことがなかったので、若干不完全燃焼気味だが(淡々としているから)、面白かった。

で、この本、この春、ドラマ化されるようですね。開成を舞台にしたドラマ?どないするねんと思っていたら、超進学校の弱輩野球部というベースだけ敷いた、別ストーリーになってる模様。原作はそんなドラマチックじゃないし、そりゃそうだわな。野球を舞台にすれば、山あり谷ありのストーリーは作れそうだし、最後甲子園にでも行ってくれればドラマとしては完成なんじゃないの〜。