『「子供のために」を疑う』二神能基

「子供のために」を疑う 10代の子供を伸ばす7つの知恵 (朝日新書)

「子供のために」を疑う 10代の子供を伸ばす7つの知恵 (朝日新書)

塾経営からニート支援までさまざまな立場で子どもとかかわってきた著者による教育論。サブタイトルに「10代の子どもを伸ばす」とあるが、10代つまり思春期の難しい時期に対応する前に読んだほうがいいと思う(特に、早期教育に興味がある方)。
親が「子供のため」を思ってするのというのは、もちろん当たり前なのだが、方向を間違えると子どもを駄目にするだけである。過度の期待を押し付ける、過保護、逆に必要以上に放任してしまう・・・。、いずれにしても「自立した大人を育てる」という子育ての最終地点い行かない。
著者の主張は、
(1)子供に期待してはいけない
(2)親もできそこない、子供もできそこない(神様以外は皆できそこない)
(3)思春期の悩みに、親子間の簡単な解決法はなく、危機管理あるのみ
(4)親は子の壁になる
(5)親離れ、子離れをしなければいけない
(6)親は物事の「イエス」「ノー」を示して、子供の指標となる
(7)子育ての結果は偶然である

おおむね、納得。引いて考えれば、当たり前のことばかりでも、つい自分のこととなると熱くなる気持はわかるが、親の期待は勝手だが、子どもの人生は子どもものだ。
と思いながら読んでいたが、私もまだまだ未熟だなと思ったのが、中学受験をするなら、入れる限りの良い(この場合偏差値が高い)学校を目指すのではなく、入学後上位1/3に入れるような学校というくだり。そういう考え方があったとは。できうるなら上をと思う気持ちを捨て(1)、多感な10代を必要以上に劣等感にさいなまれながら生きるのをさけ(3)、どのような結果になっても受け入れる(7)。ただ、これも甘やかし、子どもを堕落させよというわけではもちろんなく、必要なことはさせなければならない。
親というものはなかなか大変である(それだけやりがいもあるんだけど)。