責任販売制
最近よく耳にする「責任販売制」。今日も、「35ブックス」という販売システムが発表されたようだ。
出版不況の中、業界の売り上げ減や返品増の現状を打開しようと、筑摩書房や中央公論新社、河出書房新社など東京都内の中堅出版8社は6日、都内で会見し、現行の「委託販売制」に変わる新しい販売システム「35(さんご)ブックス」の導入を発表した。出版不況のなか、書店の利益確保に貢献し、出版社の利益を圧迫してきた返品率の改善が目的という。
新制度では、店側の定価に占める取り分(マージン)を、現行の22〜23%程度から35%に引き上げる代わりに、売れずに返品となった際には、書店側も一定額を負担する。現行は、仕入れ値と同額での返品が可能で、書店側に不利益は生じなかった。しかし、新制度では返品の際、出版社は書店から定価の35%でしか引き取らない。書店からの注文をもとに、部数を決めるという。
参加する社はほかに、青弓社▽二玄社▽早川書房▽平凡社▽ポット出版。当面は8社計26作品を対象に、書店からの注文を募り、11月上旬から配本する。一般に「責任販売制」と呼ばれる販売方法で、すでに小学館が昨年11月から一部の出版物で始めており、講談社も今年10月から一部で取り入れていく予定。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090706/biz0907061916009-n1.htm
責任販売制は、
- 書店さんとしては管理が面倒になりそうだが、上手くオペレーションできるのだろうか(ついうっかり責任販売制の書籍を通常のものとして返品したりすることはないのだろうか)。
- 売れが予想できるものならいいが、海のものとも山のものともわからない書籍の扱いは、注文されにくくなるのではないか(版元側としては、チャレンジングな企画は出しにくくなりそう。ただ、数うちゃあたるという悪しき慣行を止めるには打ってつけではあるが)。
- この制度を導入する出版社が多くなると、結局出版社のパワーゲームになってしまうのではないだろうか(たとえば大手が圧力をかけて仕入れさせるとか、抱き合わせで注文させるとか)。
- 今まで以上に書店さん側にリスクを取らせる仕組みになるが、体力の弱り気味な書店にとってさらに大変な事態になるのではないか
などなど、気になる点も多々あるが、現在の流通の仕組みも委託再販制度も限界に来ているので、何かしら手を打たなければならないのは確かで、一気に買い切りにはできない以上、中間的なこういう仕組みもありなのかなぁ。
*asahi.comにある山と積みあがった倉庫の写真と、もりもり伸びる返品率のグラフも見ておくべし。
http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY200906210201.html