『ロストジェネレーション』朝日新聞「ロストジェネレーション」取材班

ロストジェネレーション―さまよう2000万人

ロストジェネレーション―さまよう2000万人

ロストジェネレーションとは、「90年代の就職難の時期に、正社員になれないまま、不安定な生き方を余儀なくされた若者たちを指す」。この本の元になった朝日新聞の連載でもすっかり同じみになった言葉だ。産まれたときは高度経済成長の絶頂期、豊かな時代の申し子だったはずなのに、社会に出る頃はバブルもすっかり崩壊し、それまで前提となっていた価値観や通念がガラガラと崩れ始めている時代になっている。おまけに人数も多いこともあり、就職難、結婚難、そして少子化・・などの問題が噴出している。

本書は、この世代に属する人々を同じ世代の記者が丹念に取材してできたものだ。自分もその世代の人間として、共感できるところもあり、そら恐ろしくなるところもあり。でも、いつまでも「失われ」っぱなしですむのか。被害者意識だけを持ってもすむまい。今はまだ「若者」という立場をかろうじて(甘んじて?)受けているが、やがて社会の中核になるべき世代なはずだ(希望も込めて)。

団塊って言うな!」なじゃないが、「ロストジェネレーションって呼ぶな!」と、力強く叫べるように・・・いつなれるのだろうか。