子育て適齢期

ちょっと前の話になるが、50前後のAさんとお話していたときのこと。

Aさんは、専業主婦の奥さんと子ども1人の三人家族だが、結婚が30代後半と遅めで、子どもさんはまだ小学生だという。以前にも「一番お金かかる頃に定年だから、大変だ」「子どもは2人ほしかったけど、歳だからあきらめた」というような話を聞いたことがあるが、ここにきて同じく50歳前後になる奥さんが更年期障害になってしまったそうだ。家事がほとんど手につかず、通院する日々が続き、Aさんも自分の業務が決して暇ではないものの、できるだけ早く帰り、子どもと奥さんの世話をしている・・・という状態らしい。

そのときAさんは「やっぱり子どもは若いうちに作ったほうがいいよ。若い頃は、親がなんであんなにムキになって結婚をさせたがるか全然わからなかったけど、やっとわかった。やっぱり人間も動物として、子育ての時期ってのがあるんだよ。ウチはそれがズレちゃんたんだね」と言っていた。

歳を取ってからの子育てもいい面も多いだろうけど、Aさんの奥さんがあと10歳若かったら、その歳で病気になってしまったとしてすでに子どもはほとんど手を離れていただろう(病気だからいつ発病するかなんてわからないんだけど)。Aさんもあと10歳若かったら、家事と仕事と看病がもう少しラクにできたかもしれない。

その話の最後にはこんなことを言っていた。「でもね、今になってわかっても、それを伝える術はないんだよね。息子には、20代のうちに結婚して子どもを作れって言おうと思う。でも、ほかの人にそんなことを言ったら、いまじゃセクハラだよね」。

晩産化傾向が止まらないが、その原因は医療の発達や女性の社会進出に加え、「ある時期になったら子をなせ」というプレッシャーがなくなっていることも大きいだろう。結婚の適齢期が薄れたのと同じだ。個人の自由が認められてきたよき結果なのか、自己責任という名のもと先人の教えが伝わらなくなった悲しい結果なのか。

なんてことを考えたのも、『妊娠力をつける』という本を手にしたから。妊娠に関して女性の年齢は非情にも非常にシビアだ(とダジャレを言ってる場合じゃないっ)。

妊娠力をつける (文春新書)

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