『なぜ結婚できないのか』 菊地正憲

30代・40代の「結婚難民」とその親たちを取材してまとめた書。

結婚しない息子・娘を持つ親が、子に代わってお見合いをするという「親の代理お見合い会」がはやっている、というところから話が始まっている。・・・知らなかった、親のお見合いがあるなんて。確かに需要はありそうだ。子どもはいつまでものんびりしているのに、親が焦るというのは身近にも聞く話。

その会の主催者、参加者に話を聞くというところから始まって、さまざまな独身男女や識者のインタビュー、結婚相談所事情、制度・社会問題まで幅広く扱っている。インタビューしているのは山田昌弘教授、宮本みち子教授、行政担当者などから一般人まで20人あまり。

この手のルポは、現象は追えてもなかなか結論がでるものではない。本書の中にもいろんな原因(個々の意見)が述べられている。たとえば、「適当な相手がいない」「出会いがない」「恋愛・結婚に消極的」「女性が強くなった」「仕事が忙しい」「結婚への圧力が減った」「結婚する明確な理由が見つからない」「結婚するのは損だ」「新旧の結婚観で引き裂かれ身動きがとれなくなっている」・・・。

どれも言われていることで、個々に見ればどれも当てはまるケースがあるだろう。そのなかで、結論ではないのだが、著者はあえて、あとがきでこう言っている(p161)。

なぜ結婚しない世の中になってしまったのだろう‐‐敢えていえば「親の世代が失敗した」と思った。

今の風潮を作ってきたのは、彼らだからだ。それを責めても仕方がないが、今からでも遅くないので、「要らぬおせっかい」と言わず子ども(といってももう30代、40代なんだけど)をそっと後押しするのは「親」しかいないのだ、と言っている。

インタビューを受けた老親の話にも、自分たちが子どもたちに家族のかたちをちゃんと伝えられなかったということを言っている人がいた。戦後家族制度ががらりと変わり、人の意識も変化する過渡期あって、「家族のありよう」はいまだ混沌としている(そもそもロールモデルなんかなくていいと思うし、そういうのを探そうってのが無理があるとは思うが)。どんな形であれその家のなかで、親が子どもに「家族っていいよ」ってことを自然と伝えられる、それって根本的な大事な点だと思う。

結婚を考える読了本:
少子に挑む
結婚がこわい
オニババ化する女たち
女はすべからく結婚すべし』 
結婚の条件』 
結婚帝国 女の岐れ路』