『さらばフォーカス!』斎藤勲

さらば『フォーカス』!

さらば『フォーカス』!

2001年に20年の歴史の幕を下ろした写真週刊誌『FOCUS』。その創刊から廃刊まで携わったアンカーライターが書いた内側から見たフォーカス史。

アンカーライターとは(私も知らなかったのだが)、取材記者などが送ってきたデータ記事をもとに、最終原稿にする(=アンカーのライター)なんだそうだ。ちなみに、著者は新潮社の社員ではなく、締め切り間際だけ通い詰める。

はじめに創刊のころの妙に熱気がある編集部の様子が描かれている。24時間体制、それも完全に夜にシフトしている。怒号がとびかい、電話がなりひびく。ファックスやらメールやらがない古きよき時代の雑誌編集部の活気が伝わってくる。編集部内のだれもが、手ごたえのあるいい仕事をしているのだろう。・・・が、決してまねできる働き方ではない。家庭もなにもあったもんじゃない(実際、筆者もコワレタ模様。この仕事のせいかどうかわからないが)

さらに、アンカーライターとしての仕事の裏側や、同編集部での人間模様も描かれている。事実をほぼ本名で記されているので、臨場感もある。

活気のある草創期と違い、死期をむかえるころの編集部とのかわりようは、対照的。どんなものにも寿命があり、役割が終われば消えていくのみなのか・・・。

今度、『フォーカス スクープの裏側』(フォーカス編集部編)も読んでみようかな。