『まんだら探偵空海 いろは歌に暗号』 鯨 統一郎

またまた、鯨統一郎さんもの。

今回のは歴史物。時代は平安初期。「いろは歌」の隠し暗号「とがなくてしす(咎無くて死す)」は有名だが、これはいったいだれのこと?というのが今回のテーマ。具体的には、のちに「薬子の変」と呼ばれる事変の真相を解き明かす。登場人物は、平城上皇*1嵯峨天皇藤原薬子空海橘逸勢坂上田村麻呂などなど。歴史の授業で聞いたことのある人たちばかり。

この時代に詳しくなくても、なんら困らずさらりと読める。でてくる人物も妙にみんな人間くさくて、親しみやすいし。それに、"だいたい"史実をもとにしているので、歴史の勉強にもなりますね(ホントか?)

が、いまいち終わり方が腑に落ちない。薬子が上皇にみせた妖術のカラクリが、「それは、有り得ないだろう」と思うのだが(あんまり言うとネタバレになるのですが、いくらこの時代の設定だって、誰にもばれることなくそれをするのは無理だよ・・・)。そこでひっかかってしまうので、曼荼羅がうまくつながらない・・・。

装幀:反町ユミ イラスト:ソリマチアキ

鯨統一郎:読了リスト
すべての美人は名探偵である
新・世界の七不思議
邪馬台国はどこですか?』

*1:余談だが、MS−IMEでは「へいぜい」で変換できないぞ