「未完成の喜び、形を持って生れたものの喜び」

今週のAERAに「この本は「紙」でこそ読む!」という記事がある。
aera-net.jp
電子書籍もいいけど、紙でこそ読みたい本があるよねという主張のもと、何人かの著名人に「紙で読みたい本」をあげてもらうという、なんとも××な企画。
改めて、「技術の進歩と慣れ」でなんとかなってしまうなという認識をもった。
そんななかで、はっとしたのが、ブックデザイナーの祖父江慎さんの言葉。

電子書籍は常に未完成である喜び。機械やフォント環境によって変化が可能で、書体もサイズも組み方も読み手に合わせられる楽しさがある。進化の途中の形のままでコミュニケーションを得意とするものにむいています。一方、紙の書籍は、形をもって生まれたものとしての喜び。変わることのない書体や組み方など、あきらめともいえる存在の悲しさも持ち合わせていて美しい。突然完成の形をとらされているので、独立した世界観を持ち合わせている内容にむいていると思います。
[AERA 2010.5.24号p44]