『赤ちゃんを爆笑させる方法』岡部 敬史

赤ちゃんを爆笑させる方法

赤ちゃんを爆笑させる方法

著者である岡部さんから、いただきました。ありがとうございます。このブログを見ていただいていて、献本をお申し出いただきましたが、実は以前、同業者の飲み会でお会いしたことのある知り合いでした。業界狭っ。

育児エッセイ、育児マンガは数あれど、お父さん目線から書かれたものは案外ない。その点で、本書は文を書いた岡部さんもイラストレーターさんも現役の新米お父さん*1。現在、2歳半くらいのお子さんがいて、わが子の育児に精一杯関わり、つぶさに観察した結果が本書というわけだ。お二人とも、本当に育児を楽しんで、よくお子さんを観察しているのが良く分かる(たとえば、子どもの寝姿のイラスト、手のバンザイ具合とか最高です)。

タイトルは「赤ちゃんを爆笑させる方法」だが、「赤ちゃんに笑ってもらう方法」というか、「赤ちゃんとの遊び方」というか、はじめて赤子というこ生き物を目の前にして、どう扱っていいか分からないお父さん方にヒントをくれる本になっている。とはいえ、マニュアル本ではないので、堅苦しく考えることはないが。

私も、右も左も分からなかったケイくん@すでに6歳の育児や、またついこの前まで赤ちゃんだったワイくん@魔の2歳児突入中を思い出し、そうそうそうだよねーと思ったり(なんであんなに段ボールが好きなんだろうとか、祖父母向け「証拠写真」ってやっちゃうよねとか、夫もケイくんの寝かしつけのときスクワットよくやっていたわーとか)、そういう手もあったか(カーテンのうしろにぬいぐるみ作戦は面白そうだなとか、ドライアイスがそんなにウケるのかーとか)などと思いながら一気に読んだ。

私も初めての育児をするとき、『私たちは繁殖している』シリーズとか『うちの子どもにゃヘソがある』などのエッセイマンガを読んだが、それによって随分救われた気がする。えらい先生の育児書ももちろんいいのだが、普通の人の書いたエッセイや漫画、ブログなどが案外役に立つのだ。これから子どもを産むというときには、「へー、そうなんだ」と育児の雰囲気をつかむことができるし、真っ最中のときは「うちも!うちも!」と共感しながら読むことができる。

育児中って意外とこの「共感」というのが大切な気がしている。母親同士で話していることって*2、半分は情報交換だけど(いいお店、遊び場、病院等など)、半分はお互いの子供の何気ない日常を話している。そこで得られるのは、細かいところでは人それぞれ違っているけど、大枠では「そうそうそうだよね」という感覚。わが子も順調に育っているじゃないという安心感。その点ではお父さんはちょっと不利。あまりそういう機会がないから。そういう意味でも、この本はちょうどいい。「お父さんの育児」が垣間見られるから。

巻末のエッセイは「なんとなく「育児男子」」とタイトルが付けられているが、この「なんとなく」感がいい。「育児男子」もますます増えていくだろう。保育園に行っても、公園に行っても、スーパーに行ってもお父さん、あふれているもの。「男が子育てぇ?」と抵抗がある人にもぜひ読んでもらいたい。「意外と子どもって面白そう」と思ってもらえるだろうから。
問題は、その人たちにこの本をどのように届けるか、だな*3。この手の本は、書店で言うと育児棚にあるけど、育児コーナーってまさに「女の世界」だもの・・・。

*1:日本語おかしい?

*2:特に新米の同じ歳の子のいるお母さん同士では。

*3:すでにある程度、育児に興味を持っているお父さん(候補も含む)や、お母さんたちはほっといても見つけて手に取ってくれるだろう