好調角川グループからみえるもの
今週の東洋経済で「文庫で圧倒的利益を稼ぐ角川グループの才覚」という記事があった。
今、角川グループは、7社をかかえる一大出版社群となっている*1。軒並み大赤字を出している大手出版社をよそに、絶好調のようだ。その要因として2つ挙げられていた。
出版の粗利の6割近くをたたきだしているのは、7社で17タイトルもある「文庫」(その中の6割はライトノベルの文庫。*2)。タイトルは多岐にわたるが販売は一社が行っているため効率よく営業をすることができ、また制作面ではグループ内でいい競争原理が働いている(取り合いもおこるだろうが)。つまり、好調の要因の1つは、いくつかの出版社が連合してグループを作り、様々なジャンルを効率よく制作・営業できる体制があること。
また、伝統的に角川が上手いところであるが、何かヒット作があれば、それをコミックや映画、アニメ、ソフト、グッツなど横に展開することができ(グループ内に専門会社も抱えてる)、相乗的に儲かる仕組みができている。この「マルチコンテンツ化」が好調要因の2つめである(ただし、大本のタマがないと広がらないので、総合プロデュース力が問われるとのこと)。
図体の大きい出版社が1社でどうこうできる時代はすぎ、特徴ある出版社群が有機的に集まって1つの組織体のように動く---。そういった意味でも出版業界の再編は進んでいきそうな気がする。
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/09/14
- メディア: 雑誌
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