希望の保育所を選べる?

「希望の保育所、利用者が選べます」という記事があった。ちょっと長いけど引用しておく。

厚生労働省認可保育所に関し、市区町村が入所先を割り振る制度を改め、利用者が直接申し込んで契約する仕組みに変更する方針を固めた。
 都道府県が認可している新規業者の参入も、全国共通のより詳細な基準を明示し、これを満たせば原則参入できるようにする。
 月内にも社会保障審議会少子化対策特別部会で決め、2011年の通常国会での児童福祉法改正を目指す考えだ。
 認可保育所への入所は現在、市区町村が申し込みを受け付け、親が一人だったり、生活保護を受けていたりという世帯ごとの事情を考慮して入所先を割り振っている。保育料の徴収も市区町村が行っている。
 利用者からは「自宅から遠い保育所になった」などの不満が出ることがある。また、待機児童が多い市区町村では、窓口で申請を拒否されるケースも出ている。
 制度改正により、市区町村は保育の必要性だけを判断し、必要と認められれば、利用者が保育所に申し込み、保育料も直接納める仕組みとする。新規業者の参入も同時に促進し、待機児童の解消を図る考えだ。
 個別の保育所が入所の是非を最終的に判断することになれば、一人親世帯など保育の必要度が高い子どもが入所できなかったり、所得の低い世帯の子どもが受け入れを拒否されたりするケースが出てくる可能性がある。このため、厚労省保育所に対し、こうした子どもの優先受け入れ義務を課す方針だ。市区町村への苦情受付窓口の設置や第三者が運営を評価する仕組みも検討する。
 同省は、利用者が希望に沿った保育所を選べるようになるほか、保育所間の競争により保育時間の多様化などのサービス向上につながると見ている。ただ、政府の規制改革会議が求める保育料の自由化は、保育料の高騰や過剰競争につながるとして見送る方針だ。
 直接契約方式は、規制改革会議が07年にまとめた第2次答申に盛り込まれ、同特別部会で検討してきた。事業者側には「事務量が増大する」「公的責任の後退だ」などの慎重意見が出ており、決定まで時間がかかる可能性もある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090207-00000076-yom-pol

今の認可外保育園と同じようにするというわけか。
一見「自分で選べる」ってよさそうに見えるけど、今までだって、申し込みの際に「第1希望」「第2希望」・・・と希望は出せたので、同じことでは?直接、申し込むと入所希望者が入りやすくなるというならいいけど、結局定員が増えるわけじゃなければ、希望通り入れない子だって出てくるわけで。ざっとこの記事を見て疑問に思ったこと(多少穿って見ているところもあります)。

・園に選択権が握られる?
先方の保育園に気に入られなくちゃ入れないようになるかもしれない。端的にいえば、記事にも書いてあった「一人親家庭」などがはじかれる可能性だってあるわけだもの。

・申込の窓口が煩雑化する?
今のように市区町村に申込みなら窓口が1か所だけど、個々に対応すると1人があちこちに申込みをしなくてはならなくなるだろう。

・人気園と不人気園ができる?
公立なんかだと、教育方針や職員の質などはそれほど変わらないだろうけど、立地や施設の充実度(基準はあるけどやっぱり差はでる)などから、人気園と不人気園がはっきり分かれてしまうかもしれない。ただし、この改正が「保育所間の競争」を目的としているのだから、必要悪的なものかもしれない。

・保育料の徴収が面倒に?
利用者デメリットではないけど、個々の園でやったら事務処理が大変そう。コストもかかるのでは?


今、公立保育園は大きな流れで言うと「官から民へ」にのっかって、民営化されつつある。これもその一環だと思われる。
今回の改正、「新規業者の参入」の促進および競争原理による「サービスの向上」が目的のようだが、はたして目的どおり上手くいくのでしょうか。