『働く意味』小島貴子

働く意味 (幻冬舎新書)

働く意味 (幻冬舎新書)

カリスマ・キャリアカウンセラー小島さんによる、主に就活をし、これから社会に出て行く人に向けて書かれたQ&A集。2005年から2年間にわたって朝日新聞に掲載された問答をまとめたもの。
なんでそんなことを悩んでいるか分からないという上の世代からの意見もあったそうだが、そうそうそういうこと気になる/なっていたよねと共感モードで読めた(就活の細かいことは除く)。私もまだ若いってこと?!いやいや「リーダーシップの必要性」「世間話が苦手」「仕事と出産・育児の両立」「仕事を正当に評価してほしい」など、そのまま本になって並んでいるネタも多い。結局、悩んでいることはみんな同じなんだね(だからって悩まなくていいわけではないんだけど)。
著者が二年間、集中的に若者の「悩み」を聞いてきて分かったことは、彼らの「悩み」は実は「不安」だということに気付いたそうだ。モノは豊かにあるものの、日本経済は低迷していた時代に育ち、いかに失敗をせずにそつなくこなすかに注力する彼らにとって、「悩み」は「不安」であり、求められているのは「答え」ではなく「安心」ではないか、と。なるほど。本書も一貫して、理解できなくてもいい、否定やジャッジはするなと言っていた。
ちなみに、本書のタイトル「働く意味」に対する小島さんの回答は、働く目的(=自活生活を送る)とはまた違った「働いて感じる「労働価値観」」のためだと言っている(p115)。このあたりもっと深く聞いてみたい。
やっぱりというか、一番印象に残った問答は、

(仕事と子育ての両立についての質問に対して)
家族の中で一番の弱者は、「言葉・選択・決断・所有」のできない子どもです。この弱者を守り・育てながら仕事をするには、どんな障害があるのか。一つひとつ書き出して対策を考えましょう。(略)
大事なことは、仕事をする喜びが、子どもにいい形で伝わるような接し方をすること。(略)
大丈夫。仕事は逃げませんよ。しっかりウォーミングアップして、心を温めてから走り出してください。