『高層難民』渡辺実

高層難民 (新潮新書)

高層難民 (新潮新書)

先日の中越沖地震もあって、また地震などの災害を考える機会が増えた。

本書のタイトルは「高層難民」だが、それ以外にも「帰宅難民」や「避難所難民」の問題にも触れており、高層マンションに住んでいないから自分に関係ないということは決してない。大都市に住む人すべてに起こりうる問題なのだ。

まず、高層マンションに住んでいなくても、オフィスが高層階にある可能性だってあるし、そこそこ低層でもエレベータに乗っていたら、閉じ込められることも考えられる。最悪、1週間程度閉じ込められることも・・・なんて考えただけでも恐ろしいシチュエーションも。。

それから帰宅難民。大都市に働く人の多くは電車など公共交通機関を利用しているだろうが、これが麻痺するとまた恐ろしいことになる。著者は無理に帰宅しようとせず(進んで帰宅難民にならず)、被災地で待機するという選択肢も提示していたが、子どもを預けた共働きでしかも両方そこそこ自宅近くから離れたところで勤めている私たちはそうもいくまい。歯を食いしばって保育園まではいかなえればなるまい(今はたまたまお休みしているので、自宅近くにいることが比較的多いけど)。

避難所難民もかなり身近な問題。近くに小学校や中学校、公園はあるが、地域住民の数の多さもかなりのもの。そこに収容できるのかしら。たとえそこに収容できたとしても、同じような避難所が山のようにできる大都市で食料をはじめ避難所としての体裁を整えることができるのか。

あれこれ考えるだに恐ろしい。とはいえ、家にまともな非難袋や防災グッツがあるわけではない。家族も増えることだし、頭のなかであれこれ考えるより、「地震は来る」という前提ですこしずつ対策を考えたほうがよさそうだ。