『老後がこわい』香山リカ

老後がこわい (講談社現代新書)

老後がこわい (講談社現代新書)

精神科医である著者が、今までバリバリと働いて自らの地位を自らの力で築いてきたシングル女性が不安に思うこと、具体的には年金、介護、孤独死、葬儀、墓からペットにいたるまでを、自分の体験なども交えて書いている本。「就職がこわい」「結婚がこわい」につづく「こわい」シリーズだが、著者の今が現れているという意味では本書が一番等身大なのではないか。

赤裸々に自分の気持ちを吐露し、同年代のシングル女性向けて書かれたものなので、ある程度特殊な事情もあるが、だれでも老後は不安に思うもの。著者ほどの名声も地位も(たぶん財産も)あってもそのようだし、たとえ家族がいようが子どもがいようが、立ち位置が違うだけでなにも心配事がないなんてありえない。最近は「生」の部分はよく考えるが、反対の「死」についてもちょっと考えてみた瞬間だった。