『吉本興業の正体』増田晶文

吉本興業の正体

吉本興業の正体

今たまたま、洋七とカウスの事件がおきているが、それとは関係ナシになにやらオモロそうだと思って手に取った。といっても、私は大阪とは縁もゆかりもない。吉本新喜劇は子どものころテレビでやっていた記憶はあるが、あまり見た記憶がない。ただ、今の吉本の快進撃は門外漢から見てもすごく、いったいどんな会社だろと興味をそそられる会社であることは確か。

内容は、現在の経営陣への粘り強い取材と、創業時からの歴史を紐解き、「吉本興業の正体
」を知ろうとするもの。「ケッタイな会社」と何度も書かれているが、確かに普通の会社とは異なる企業文化を持っていて、それが浮き沈みを経験しながらも最古にして最強の芸能プロを築いてきた原動力だ。とはいえ、順風満帆に成長してきた企業ではなく、非常に泥臭い人間模様も多く描かれている。

吉本の内部事情をほとんど知らなかったが故に、純粋に楽しめた。ただ、1章と6章が内容的にダブッてたり(章内でも繰り返しが多い)、つきとめようのない「正体」に翻弄されて、現代吉本の分析が甘く(文章がくどく)なっているような気がするのが残念。

装幀:間村俊一