やっぱり下がった出生率

少子化」は流行語かと思うくらい日々耳にし、さまざまな方策がとびかうなか、やっぱり出生率は05年も下がった。「衝撃」「ショック」などと論じている新聞もあるが、「衝撃」でもなんでもなく、「やっぱり」と思う。だって、あがる要因がないもの。

やれ晩婚化の影響だ、経済的バックアップがたりない、働く女性の支援ができてない、いや男性の働き方が問題だ・・・・原因はあれこれ言われているが、それに対する具体的数字を挙げられるような方策がなにもでてきていない。出てくるのはバラマキの児童手当てだったり、拘束力の弱い法律だったり。

たとえば、大手小町の「少子化の原因は?個人的には何だと考えますか?」を見ればわかるように、考えられることって本当にたくさんある。原因も多岐にわたるなら、対策を立てるのも一筋縄でいかないだろう。それにしても、今の政府が出してくる政策はトンチンカンなものが多い。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/200603/2006032400115.htm
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/200604/2006040400085.htm
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/200604/2006042100061.htm


個人的には、「結婚」や「出産」に対する「大義名分」がなくなったことが原因かなと思っている。一昔前なら結婚も出産も「当たり前」で、6歳になったら学校へあがるがごとく、ある程度の年齢になったら結婚して子どもを産むのが、自然な流れだった。世間もそう思ってたし、親からもそう教育されてきた。

でも今は違う。結婚も出産も、してもいいし、しなくてもいい。するのもいつでもOKだ。そうなったとき、「なぜ、結婚?」「なぜ、子ども?」「なぜ、今?」を考え、答えを出さなくてはならない(と言われている)。何をするにしても、今そうするための「大義名分」が必要。ややもすると、自分の時間やお金を食われる結婚や出産になぜ、あなたは手を出そうとするのですか、そのままのほうがラクじゃないですか。こんな内なる声を破るだけの大きな「理由」が。

愛する人と一緒に住みたかったから」「大好きな人の子どもを産んで、一緒に育てたかった」などきれいな答えや、逆に「家賃がもったいなかったから」「老後が心配」「親がうるさい」「仕事をやめたかった」「子育てってのをしてみたかった」などもう少し下世話な理由もあげられよう。言おうと思えば。

でも、今の生活を打破し、結婚・出産するに至る「パンチ力のある理由」が、ない。ならば、そのままでいいんじゃないか、と。

もちろん、結婚・出産した人がみんな「大義名分」をかかげ、ご大層な「理由」があるとは思わない。・・・というか、私を含め、あんまりそういうことを考えなかったからこそ、結婚したり、子ども産んだりしているのかもしれない。もし聞かれたら、「そうしたかったら」と答えるしかないのだ。

まあ、そもそも、理由が必要ってのがおかしな話で、もっとシンプルに「結婚っていいんだよ」「子どもっていいんだよ」ってメッセージが世の中に蔓延していたら、こんなことにはなっていないはずだ。

だから、考えすぎてしまう人には「出産する動機付け」(即効薬的アプローチ)を、これから先々を考えて世の中には「結婚・出産に対する好印象」(漢方薬的アプローチ)をうまく伝えることができれば、出生率が上がる・・・かもしれない。どんな「動機付け」をすればいいか、またどうすれば「結婚・出産のよさが伝わるか」は考えなくちゃならないけど。

あ、あと、このゴタゴタのとき、「環境破壊のせいなのかなんなのか、女性の妊孕性(妊娠可能性)が下がっているような気がする」ということをお医者さんがおっしゃっていた。不妊の問題もココに入るかもしれない。それも、対策が取れる問題なのであれば、なんとかしないとなあ(自分としてはそっちの方が切実だ)。