『出口のない海』 横山秀夫

出口のない海

出口のない海

これは、8年位前に書いたものだそうで、横山さんお得意の警察小説ではない。
時は太平洋戦争前夜。元高校球児である主人公は、大学進学後体を壊し、再起をかけて「魔球」の開発をしていたが、太平洋戦争が始まり、戦局が苦しくなると学徒出陣となり、やがて死が約束された回天特別攻撃隊員として出撃する・・・。

ときどき、時代考証というか、この時代にこんな言葉使うかなーなんて点もあったが、なにせ死に行く人の迷える心理を描いているので、次第に感情移入していって、一気に読んだ。戦争の恐さ、集団心理の恐さ、プライドの持ちようの恐さ、タイトルの「出口のない海」の意味がずーんと効いてくる。

なお、この作品は今秋、市川海老蔵が主演で映画化されるそうだ。