『ベターハーフ』 唯川恵

ベター・ハーフ (集英社文庫)

ベター・ハーフ (集英社文庫)

バブル絶頂期につきあい幸せいっぱいで結婚した2人のその後10年におよぶ人生を描いた小説。時代に即した事件や背景をもとに、浮気あり、リストラあり、病気あり、入院あり、妊娠・出産あり、お受験あり、親の介護あり・・・とさまざまなことが起こる(ちょっと起きすぎ?)。

はじめの方はいくらバブルで浮かれている時代だからってこの2人いったい何やっているのさ、なんて思っていたけど、次第にたくましく生きていくのを応援するような気持ちになってきた。この2人もうダメかもという状況もなんどかあったが、ときにはあきらめ、ときには逃げ、ときには真正面からぶつかって何とか乗り越えていく様子には「恋愛ならば充分な別れる理由も、夫婦には当てはまらない」ってのはホントなんだなぁと思ったり。

この小説は言っててみれば、どこかで暮らしている1つの家族の歴史なのだが、ぐいぐい引き込まれる筆力はさすがのもの。単行本が2000年に出たこともあって、1999年で話が終わっているが、この先、この家族がどう変わっていくか続きも見てみたい。

装丁:木村典子(Balcony) 装画:水野温子