『文学的商品学』 斎藤美奈子

文学的商品学

文学的商品学

小説を「ファッション」「ホテル」「バンド」「オートバイ」「貧乏」など9の商品カタログ的視点から分類し、そこに当てはまる代表的な作品をいくつか取り上げて評論しようとするもの。ストーリー自体ではなく、登場する物やその描写にだけスポットを当てているちょっと変り種の文芸評論。

斎藤さんの評論はいつも他の人とは違った視点があって面白い・・・のだが、今回は正直なところ、うむ、イマイチ。

理由としては3つ。1つめは、なんだかこじつけを感じてしまう点。小説が数多あるなかで、なんでその作品なのよーというところ。2つめは、パンチが足りないこと。目のつけどころは面白いと思うのだが、ほぅと思う点が少ない。そして3つめは、もうどうしようもなく自分の知識のなさ。読んだことのない本同士を、商品カタログ的に見るというというちょっとずらした視点からつなぎ合わせて論じてもらっても、よく分からん(苦笑)。作品全体が分かっているからこそ楽しめる点もきっと多いはずなのにな。

内容と関係ないが、この装丁はミルキィ・イソベさん。言われるまで気付かなかった。なんだかミルキィ・イソベさんのテイストと違うので。