『感じない子どもこころを扱えない大人』 袰岩奈々

感じない子ども こころを扱えない大人 (集英社新書)

感じない子ども こころを扱えない大人 (集英社新書)

大人、子ども問わず、自分の気持ちをうまく扱えない(表現できない、顕在化できない、感情をもてあます・・・)に、どうしたらよいかを説く本。

大人なら何気なくやっていることだが、子どもにはまず大人が感情に名前があること、表現する一定の方法があること、そしてそれをいずれ自分の中で処理していかなくてはならないことを「教えないといけない」ということに気づかされた。大人でももやもやとして上手く表しきれない感情が多いので、ましてや子どもではもっとその気持ちをもてあましがちだ。

本書を読んでいて、普段から、「感情を表現する」ということに注力していないなと感じた。連絡事項やら説明調で話される話は多いけれど、そこには感情はない。そのときどう思ったかをきちんと大人が表現していけば、「そういうときの気持ちを"寂しい"というのか」「それを"ねたましい"というのか」と獲得していくことができ、自分の感情を表現することができれば、人に共感してもらったり、人間関係もうまくいくというもの。

「死んだらなぜいけないのか」「どうして学校へいかなくてはいけないか」・・・。子どものある意味素朴な疑問にも親の答え方、対応1つで随分相手に与えてしまう印象が異なる。感情を獲得していく時期にある子どもをもつ親として、もう少し感情表現を豊かに(自分がどう思ったかのアイメッセージを豊かに)していきたいと思う。また、主に母親や今日仕向けに書いてあるが、子どもとどうかかわっていいのか迷う父親にも読んでほしいと思う。

紀伊国屋本店でフェアを見かけて買ったので、でなんとなく新刊かと思っていたが、随分前の発行だった(2001年)。内容的に古くなっているわけではないので、なんら問題ないのだが。というか、今読んでも全く問題ない良本なので、このようにフェアをやって既刊を掘り起こすのはとてもいいことだと思う。