『普通の家族がいちばん怖い』岩村暢子

「破滅する日本の食卓」という副題から、日常の食生活の話かと思いきや、ハレの行事である「正月」と「クリスマス」の過ごし方の調査から、今の日本の家庭をみていこうとするものである。
調査はアンケートやインタビューのほか、写真もふんだんにあり、とても丁寧に行われいるとは思うが、いかんせん吊るし上げ口調で語られており、読んでいていい気分はしなかった。惨状を伝えたいのかもしれないけど、なんでもかんでも悪く捉えた文章を読むのは正直つらい(それゆえだからだおるか、若干書かれていることに矛盾が生じている)。
想像に違わずひどい壊れっぷりの家庭も多く描かれているが、ダメ主婦として糾弾されている箇所、こんなまずい家庭もあるのよ!と紹介されている箇所が自分や我が家にもそこここに当てはまる。そのくらいフツーだよなんていいたくなるが、副題が「普通の家庭」ってくらいだから、そりゃそうか。ハハハ。
著者はいったい何を理想とし、どんな家庭を築いてほしいと思っているのだろうか。クリスマスなど新しい行事はとりいれず、行事は代々伝わってきた風習を粛々と受け継ぐべし???どうも、それこそ現代にそぐわない理想の家庭、ユートピアを語っているように思えてしまう。度を過ぎる個人主義はおかしいと思うが、なんでもかんでも家族が一番、伝統第一というのも無理があると思う。そう思ってしまう私もすでに「破滅」しているのだろうか。

普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓

普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓