『子どもが伸びる魔法のしつけ』谷かおる

子どもが伸びる魔法のしつけ―10歳までの英才教育

子どもが伸びる魔法のしつけ―10歳までの英才教育

タイトルにあるような「魔法」もないし、サブタイトルにあるような「英才教育」でもない。むしろ、自立心が旺盛で、知恵や工夫のできる賢い子に育てるための本。著者は、「21世紀の育児を考える会」の主宰者で、幼児教育に精通している方のようだ。

親が、特に10歳までの子供にしてやれることを、具体的なエピソードや方法を織り交ぜて書いてある。日常でついうっかり見過ごしてしまいそうなことをちょっとした工夫で遊び(学び)に変えるワザは、すぐにでも使えそうなものも多い。たとえば、子どもにお絵かきさせるのにも、画用紙もいいけど、たまには模造紙を用意し、壁に貼って描かせる。すると子どもたちは大喜びする、とある。確かに楽しそう!子どもでなくてもやってみたいではないか。

子どもに教える、ちょいとしたやる気にさせるには、ほんのちょっとした仕掛けが必要なんだな。これをついつい面倒くさがってしまいますが、それじゃいかん!今思えば、母親はいろいろ工夫して遊んでくれたと思う。時間はあるが、お金はない。そんななかで母なりの工夫で遊びや学習をさせてもらったなぁと。親がしてくれたことは、自分の子にもしてやらねば。

それから、ついつい近視眼的に見てしまうが、「新しい時代の人材を育てる視点を大切に」していきたいと改めて思う。結局、子育てはその子を自立させるためにするんだもんね。どんな形で人生を歩むにせよ、自分で考え、選び取るだけのベースとなる知力・体力・応用力は身につけてもらわねば。

最終章に「働くお母さん、忙しいお父さん、大丈夫です」という項目があるが、著者の体験も交えて働く母に対してのエールを送ってくれている。ちょっぴり泣けた(笑)。

最後にひとこと。せっかくいい本なのに、ベストセラーのパクリみたいなタイトルで残念ー。

装丁:三笠書房装丁室 イラスト:コージー・トマト