『人は見かけで決まる』 和田秀樹

人は見かけで決まる 頭を良く見せるための心理学

人は見かけで決まる 頭を良く見せるための心理学

タイトルだけ見たときは、「美人はトクする」とか「できる男の着こなし術」(笑)といった外見重視の世の中の渡り方みたいな話かと思ったが*1、内容はサブタイトル「頭を良く見せるための心理学」のほうがよく表している。つまり、外見だけでなくあらゆる面から、「頭をよく見せるための方法論」である*2

著者は、灘高→東大医学部で精神科医になった和田秀樹さん。心理学分野や受験法の著書も多い。彼をもってしても、「頭がいいと思われたい」んだから、人間の認められたい欲求ってすごいなぁ。

ふだん「どうして私はこんなにアタマ悪いんだろー」と思う場面はよくある。ブログなんて書いていると、「あー、なんで自分の頭の悪さをわざわざ公表しているんだろう。バカ丸出し・・・」と思ってしまうことが多い。ただ、本書によると、「(自分がバカだと)認めているような人のほうがメタ認知も働いている賢い人だと思うし、自己改造の意欲も高い人だと思う」というわけだから、まだ救われるのだが(と勝手に癒されてもみる)。

現実は、本当に「頭がいいかどうか」と同じウェイトで、「頭を良く見せられるかどうか」が問題になるという。だから、自己評価はともかく人に頭がいいと印象付けるためには、ちょっとしたテクニックを知ろうというわけだ。

確かに、普段の仕事にしろ、出世にしろ、転職にしろ、「頭がよい」と思わせたほうが何かとトクだ 。人の発言でも、この人は頭がいいと思っている人から言われるとなんとなく納得してしまう(ポジティブ・バイアスがまんまとかかってしまう)。この際、謙虚は美徳はおいておいて、学べるところは学んでおいたほうがよさそうだ。主なテクは、以下の5つ(話し方をまとめれば、4つ)に分けて説明されている。

  • 外見(服装、髪型、メガネなどの小道具、体型など)
  • 話し方1(語尾、速さ、テンポ、あいづち、接続詞の使い方、たとえ話、プレゼン法など)
  • 話し方2(異性への声かけ、yesbutの使い方、しかる方法、自己アピール法、成功談の話し方、口調など)
  • 文章(わかりやすく、短く、理由を書く、5W1H、引用法など)
  • 生き方(行動のスピード、まじめさ、マナー、社内よりも社外、賢い上司、賢い部下、学歴の使いようなど)

これだけ全部実践できるのは、やっぱり頭のいいひとだけだよーという矛盾は感じたり((そもそも、自分をよく見せるってのも頭のよさの1つだと思うし))、この本を読んでいるところを見られたらかなりバカっぽいのでは?なんて思ったりしなくもなくもないが、結構納得して楽しめて読めた。

装丁:一瀬錠二(Art ofNOISE) イラスト:難波俊彦

*1:にしても、このバカっぽいタイトルと装丁は何?わざとやっているんだろうけど・・・・。

*2:今週号のananが「自分の売り出し(プロデュース)法」だった。ちょっとシンクロを感じなくもない