『ベイビー・シャワー』 山田あかね

ベイビーシャワー

ベイビーシャワー

はじまりは、1人の男の子の独白から。彼には4人の親がいる。生んでくれた母・美園。生物学的な父。戸籍上の父。そして、父とも母とも呼べる第4の親・キョウコさん。彼の産まれてきた経緯を話す形で物語は始まる。

ときは、美園と今日子が39歳のときまで戻る。互いに、独身(今日子は×1)。妻子ある男とつきあい、それぞれ望む仕事をしているとはいえ、女ばかりの職場にいる美園と男ばかりの職場にいる今日子では異なる。考え方は違うものの、相手を見守り、自分を見つめながら、心の動きを描いている。あるとき美園は、「子どもを産みたい」と思う。当時の彼に相談するも断られる。最後には、偶然がよんだ今日子の昔の彼(?)と子どもをつくることにしたー。

いろんなことがテンコモリの小説。
・いつまで妊娠できるか(2人は39歳という設定)
・産みたくないか産めないか(子宮ガンが見つかる今日子)
・女性とは子どもを欲しがるものか(今日子はちっともほしくない)
・婚姻制度・婚外子(美園は独身のまま子どもを欲しがる)
・不倫(2人とも妻子ある男とつきあっている)
・自立する女性
などなど。

文中の情景および心理描写がどこかぎこちないところがあり、若干気になるが、ストーリーとしては十分楽しめた。

ちなみに、「ベイビー・シャワー」は、アメリカの習慣で、産まれてくる子どもを祝福するためのパーティー。どんな子でも、どんな環境でも、やっぱり産まれてくる子どもには、大いなる祝福を!という意味でつけられたそうだ。

ここに、著者サイトがあります。パワフルな女性のようです。
http://www2.odn.ne.jp/akane-y/book01.htm