『朗読者』 B・シュリンク 松永美穂訳

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

今さらながら『朗読者』読みました。 淡々と進むなかにも、鋭い心理描写があって読み応えがある・・・が、構えて読みすぎちゃいました。こんなに有名になる前に読んでみたかった。いらん予備知識がありすぎて、作品に集中できなかった。

で、読みながら去来したよしなしごと。戦争ってなんて理不尽なんでしょうね(そうでなくちゃ彼女の罪はなりたたない)。法廷で彼女を救うことは本当にできなかったのか(彼女のプライドを守ることの方が大事なんて、ちょっと納得できない)。

そもそも、字が読めないってそんなに悲しいことなのかな(本人が思う以上、否定はできないが)。やっぱり、最後字が書けるようになった彼女と手紙のやり取りをすることはできなかったのだろうか。せめて同じくらい一言書いて送っていれば・・・。彼女は救われただろうに。

現在から、洗いざらい過去をさらしているという構成になっているけど、「ぼく」の視点からかかれているので、どうもスカシている感がぬぐえない。