『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一

ロウアーミドルの衝撃

ロウアーミドルの衝撃

今話題の階層の問題を、大前氏の視点できり、具体的解決策を記した書。

本書のタイトルになっている「ロウアーミドル」は世帯収入300〜600万の層で、所得が二極分化する「M型社会」の中において人口が一番多い。つまり、今後有望なマーケットとしている。彼らには、センスはアッパーミドル、価格はロウアーミドルという「なんちゃって自由が丘」が受けるという。また、高品質でセンスの良い商品やサービスであれば、この層は喜んでプレミアムに金を払う。「安かろう、悪かろう」はもういらない。「これが、この値段で買える!」と「これは絶対私向け」が欲しいのだ。

で、収入の増加がままならず、税金の負担増だけは見えているこの時代、どうすればいいのか。それには、人生モデルを見直せば(家・車・教育など)いいという。それだけでウン千万も違ってくるというのだ。世界の中でトップクラスのお金持ちのはずの日本人が、豊かな暮らしができないのは、「日本人自身の思い込み(横並び主義。みんなと同じ暮らしをしたいという幻想)」および「規制と市場の閉鎖性(国内産業を守るがため、国民に高い商品を買わせている)」のためである。

この行き詰まった社会を健全にんする具体的な打開策では、課税方式への提言(フローからストックへ)や、本当の意味で地方が独立国家となる道州制、教育問題にまで幅広く策が描かれている。