『ついていったらこうなった』 多田文明

ついていったら、こうなった―キャッチセールス潜入ルポ

ついていったら、こうなった―キャッチセールス潜入ルポ

街頭でよく見かけるキャッチセールスやあやしげなDMなどに、実際についていったり申し込んだらどうなるか、体験してレポートしたものだ。絵の即売会、キャッチ系英会話教室、無料エステ、頭の回転がよくなるテープ、インチキ宗教、先物取引、原稿が本になる、在宅ワーク、結婚相談所、幸運のペンダント、悪質芸能事務所などなど。それぞれどんなところに連れて行かれて、どんなトークが繰り広げられるか。

実は私も、実際についていったらどうなるかなぁと興味をもって、アヤシゲだと思いつつもついていってみたことがある(あの頃は若かった・・)。エステだったか、化粧品だったかの勧誘で、新宿だったかと思うが、どこかのビルの一室に連れて行かれて、アンケート→カウンセリング(と称した売り込み)があった。でも、「誰がそんなもん買うか!」と思っていたし、相手にも「○時に友達と待ち合わせがあるからそれまで」と伝えてあったので(実際はウソ)、1時間ほどたっぷり話を聞かされただけで実害はなかった。ちなみに、そこで対応した人は話の中身はなくノリだけでしゃべり、矛盾点も多々あったので、たぶん本書でも取り上げられているような怪しい業者の1つなんじゃないかなと思う。

また余談だが、消費者アンケートと称し「協力者には図書券プレゼント」と言って近づいてきた人に「あやしいなぁ」と思いつつも協力してみたことがあるが、それは本当に消費者アンケート(というかマーケティングっぽいもの)だった。それも近所のビルに連れて行かれたのだが、ある商品がA社のもの、B社のもの、C社のもの・・とずらりと展示してあるの中から、自分が購入する際のポイントやその理由を聞かれたり、現行のパッケージを少し変形したり色を変えたものを提示されて、どれが気に入るか聞かれたりした。

あやしい業者への対処法は本書にあるように、そもそも「あやしげなのには答えない・ついていかない」。もしウッカリついていってしまっても、「相手のペースに乗らない(=こっちから質問する)」「即断しない」「はっきり断る」「時間をあらかじめ切っておく」「矛盾点をつく」、まあ当たり前といえば当たり前だ。「ついて」いかなくても、日々かかってくる電話の勧誘や怪しげなDMの対処法としても使える。

なお、私は文庫化したものを読んだのだが、文庫化される前、本書に書いたある企業から訴えられたという。裁判の結果は著者・出版社側の勝訴となったが、そのせいで文庫化が遅れたそうだ。でも、それもいい宣伝になったのでよしでしょう(実際、帯の「著者と出版社が訴えられた!「訴えられたら、こうなった!」は231頁へ!」の文句には引かれるものがあったもんなあ)。