『半落ち』横山秀夫

半落ち (講談社文庫)

アルツハイマーの妻を殺した元警察官が、自首してきた。彼は全面的に容疑を認めているものの、犯行後2日間の空白については決して口を割ろうとしない。そこまでかたくなに口をつぐむ裏にあるものは何か。各章、事件にかかわるそれぞれの人の視点を借りながら真相に迫っていく。

横山氏らしい警察ミステリーに仕上がっている。男の仕事への誇りや警察という大組織の中で働く微妙な心理などはさすが。

が、途中で「空白の2日間」のナゾがだいたい見えた。というのも、奥付の前のページにとある注が入っていたから。単行本を出したときと文庫が出た今とでは、「ある制度が変わっています」ということを知らせる注なのだが、それがヒントになって分かってしまったのだ。本編とはまったく関係ないが、あんな目につくところにあると見ちゃうし、見ちゃうと分かっちゃうよー。