『グレイヴディッガー』 高野和明

グレイヴディッガー (講談社文庫)

グレイヴディッガー (講談社文庫)

『13階段』が面白かったので、大いに期待して読んだが、その期待を裏切らない面白さだった。

前科持ちの八神は、心を入れ替えて骨髄ドナーに登録する。いよいよ移植直前となって、借金を申し込みにいった先で八神の知人が殺されていた!明日の手術には間に合わなければならないし、通報すれば警察から追われる身となる。どうしようかと思うまもなく謎の集団は追ってきた。そこから、夜の東京をまたにかけた壮絶な追いかけっこがはじまる。なんとか病院にたどりつき、移植手術をしたい八神、重要参考人として八神を追いかける警察、さらにどこまでもおってくるナゾの集団、そして第三の影・・・。壮絶なチェイスの間にも次々に人は殺されていく。被害者は、なぜかドナーばかり。はたして真犯人はだれか。そして八神は果たして、やつらから逃げられるのか・・・。

今回はとにかくスピード感がすばらしい。追われる立場と追う立場、両方の視点を絶妙なタイミングで切り替わる。最初から最後まで全力疾走!とても1晩のできごととは思えないほどの濃厚な時間。

もちろん人物描写も申し分なし。

犯人が、中世のグレイヴディッガー伝説*1をまねしたわけや、八神がそこまで情熱的に人助けをするわけ、細かい犯行の手口などがはっきりしない部分としてあるが、全体としては、本当によくできている。

高野和明:読了リスト
13階段

装丁(文庫):多田和博 装画:西口司郎

*1:でもこれって実は著者の作り物!解説読んだときはぶったまげた